(爆)ってなんだ。

脚本家の微笑み返し

 

 20年くらい前にパーソナル無線というのが流行って、無線機を車に取り付けている若者がたくさんいた。アマチュア無線のような免許もいらず、結構広範囲に交信できるため、仲間同士の連絡のみならず、無線を介しての友達づくりにも一役買っていたようだ。今も使っている人はいるらしいが、携帯電話とインターネットの普及で、すっかり下火になった。

 パーソナル無線全盛当時、それを楽しんでいる人たちの無線を通した会話は、私には意味不明なことが多かった。
「シロクロパンダさんゲンチャクでショボショボですがブレークよろしくテンテンですぅー」とかなんのこっちゃ。
 専門用語というか、わかる人にしかわからない隠語を使い合うことも楽しみのひとつだったのだろうが、普段の話し方と違って変なイントネーションで語尾をことさら延ばす人には「あんたナニ人?」と聞きたくなるほどだった。

 演劇や舞台の世界にも変な専門用語がある。例えば…
「ツリモノ、トバないようにコロしてね」とは「吊るされているヤツが高飛びする前に殺害しろよ」ということであるから驚く。

 わが劇団いぶきでは、必要以上の舞台用語は使わない。面倒くさいからだ。舞台用語を使わないからって作品のクオリティーに影響するわけではない。ただし、最小限必要なものは使っている。客席から向かって舞台の右側を「上手」、左側を「下手」としておかないと混乱する。だから、
「カミのウマはバミったあとワラってね」くらいのことは言わなければならない。ちなみにこれは「関西の馬は馬刺しにして味わったあと笑いましょう」という意味だ。

 最近、メールやBBSでも、奇妙な言葉が使われているが、中でも視覚に訴える顔文字などはこのメディア独特の隠語と言えよう。書き言葉だと微妙な感情を伝えるのが難しいので、「(笑)」などと文字を記号化して補足するなども、よく考えたものだ。最初にやった人には頭が下がる。m(_ _)m
ただしこの「(笑)」は、雑誌の対談などでは大昔から使われていたので、大昔の人にも…。m(_ _)m

 ただ、私には「(爆)」というのがよくわからない。これは、爆発なのか自爆なのか、爆音、爆弾、爆撃、爆薬、爆睡、夢枕爆(それは獏!(爆))のどれなのか教えて欲しいものである。

注:「ツリモノ、トバないようにコロしてね」は「吊ってあるセットが持ち上がらないように昇降装置の綱を固定してね」という意味です。「カミのウマはバミったあとワラってね」は、「客席から向かって右側の舞台上に、台などを高く保つための道具を置いてあるが、その道具の今の置いてある場所を舞台上の床にビニールテープなどででマークした後、それを客席から見えない位置に片付けてください。くれぐれもビニールテープか布のガムテープを使うように。こら!紙のガムテープを貼ったら剥がすとき粘着部分が床に残って掃除が面倒なんだよ。劇場の人にも怒られるし。もういいよお前!」という意味です。

劇団いぶき

劇団いぶきは、鹿児島県知覧町で40年以上活動している劇団です。