学校公演

脚本家の微笑み返し

 

 劇団いぶきは、学校の体育館で「やまびこきつね」を公演した。体育館を劇場にするのは、ジッサイ容易ではなかった。

 劇団いぶきの芝居でいつも活躍してくれている箱がある。1間×半間×500mm の箱が六つ。もう10年前につくったシロモノだ。この上で踊ったり跳ねたりするためにつくったから、とにかく頑丈。頑丈ってことは…重い。運びにくい。持ちにくい。そしてカサバル。

 しかし、この箱のおかげで、舞台は様々な場所に変化した。貧乏劇団にとっては魔法の箱だ。

 この箱は外せない。体育館を劇場にするためならなおさらだ。だけど運びにくい。

 顔の広い舞台監督が、町内の某企業からアルミバントラックを借りてくれて、ずいぶん運びやすかったものの、搬入から仕込みの間に20分ほど休憩を入れなければ、まったくやる気がしないのだから困ったものだ。

 そんなこんなで、倉庫でトラックに道具を積み込むところから運搬、搬入、仕込み、リハまで8時間もかかった。芝居は30分。モノをつくるってそんなもんなんだろう。

 体育館を劇場にするって、ずいぶん疲れるんだな。

劇団いぶき

劇団いぶきは、鹿児島県知覧町で40年以上活動している劇団です。