祝・サウンドメイツ25周年

脚本家の微笑み返し

 

 「サウンドメイツ」という鹿児島県南薩摩地方で活動するビッグバンドが、結成25周年を迎えてコンサートを開いた。25年前4人で始めたバンドらしいが現在は20人。わが劇団いぶきも再来年には30周年を迎えるが、結成からの現役団員はいない。青年団の演劇部から市民劇団として歩み始めた11年前、「目標はサウンドメイツ!」と思ったものだ。ジャンルは違えど、サウンド・メイツの活動は、ここらの地域での文化活動に新境地を開いていたと、私には見えた。
 今は、交響楽団や和太鼓チームなど、エンターテイメントとして地域のみなさんに認められている団体は増えている。(わが劇団もそうかな…そうだといいけど)が、サウンドメイツはそのパイオニアであったかも知れない。

 「サウンド・メイツ」に対抗して、「サンドバッグ」というバンドを組んだことがある。メンバーは「劇団いぶき」のミヤハラ代表、ヒラコバ舞監、そして私の3人。「サウンド・メイツ」に所属している人の結婚披露宴の余興で、まさに対抗して特別に結成したのだった。曲は「サザエさん」だった。

 ミヤハラ代表はサックスを吹いた。主旋律はサックスだった。ミヤハラ代表なぜか「裸の大将」の扮装をしていた。「サックス」と「サザエさん」と「裸の大将」はあり得ない組み合わせだった。ヒラコバ舞監はトランペットで、主旋律に ♪パッパッ と合いの手を入れる係だった。下駄履きに着物と袴と学生帽のいでたちだった。ファッションテーマは「大正デモクラシー」だったかも知れない。これは「サザエさん」にも「トランペット」にもよく似合う必然性のある扮装だった。私はというとパーカッション担当だった。ドラムを叩いた。ファッションテーマは「鬼瓦権蔵の生涯」という高尚なものだったが、結局黄色いドカヘルと、土建屋さんのハッピ、ニッカポッカ、地下足袋、そして口のまわりを黒の墨で囲むというごくオーソドックスなスタイルになってしまった。
 たいへんすばらしい演奏ができたと今でも思っている。音楽性はともかくビジュアル系バンドのハシリだったと評されるべきだろう。ただ1回きりの演奏で直ちに解散してしまったのが惜しまれる。
わが劇団にこうした伝説のバンドがあったことなど今や知る由もない。劇団音楽班もこのバンドの存在を認めていない。なにを恐れているというのだ。

 さて、サウンドメイツの25周年コンサートは、殊の外すばらしかった。昔は地域の客層に合わせて歌謡曲もやっていたが、今回はマツケンサンバでお子様にサービスした他はジャズを中心に、自分たちのやりたい曲で構成していた。その方がむしろ音楽に対する情熱が伝わって好感が持てましたヨ。そして、30周年、40周年と絶滅するまで続けていただきたい。「目標はサウンドメイツ」の思いを再認識したコンサートの夜でした。

劇団いぶき

劇団いぶきは、鹿児島県知覧町で40年以上活動している劇団です。