中学生の芝居の稽古に付き合っている。照明、音響機器の管理上立ち会っているだけなので、気楽に稽古を眺めている。11月12日の公演を数日後に控え、午後5時から7時が中学生の稽古、8時からいぶきが稽古する。劇団いぶきは、中学生の演劇チームと合同公演を行うことになった。
気楽にといっても、鼻くそをほじったり、あくびをしながら見ているわけではない。指導している顧問の先生の傍らで、一応「自分ならどうするかな」なんて思いながら見ている。照明の微調整なんかもやりながら、真剣にだけど、所詮部外者なので客観的に付き合っていられるわけだ。
一日で二つの作品をやるわけだから、照明の仕込みも大変だ。古い会館で、回路の数も限られている。いろいろ考えて仕込んだものの、実際明かりの下で稽古してみると、結局、フロントスポット(舞台前方両サイドからあてるライト)が足りなくて、ステージスポット(舞台袖に立てる可動式のライト)をかついで階段を上ったりと、微調整といっても汗だくだ。
それにしても、今回参加している中学生は素直でいい子たちだ。実際ここら町内外の田舎の中学生は、膝を隠す丈のスカートや、ちゃんと腰まで隠れるズボンを穿き、私たちの中学時代のナリと変わらないのはうれしい。その反動で卒業後どうなるのかは知らないが、少なくとも、この芝居に参加している子たちは、きっと18までピアスの穴はあけないだろう。ましてや瞼や舌には一生あけないだろう。たとえ、ケニア国境付近に住むムルシ族に、「唇に穴をあけて皿を入れろ」と迫られても、泣きながら拒み続けるだろう。
今回そんな、中学生が県のコンクールで最優秀賞をとったそのお披露目公演をやるというので、会館の使用や広報など、町も特別な計らいで協力してくれている。町だけでなく、取材して告知記事を書いてくださった鹿児島県最大手新聞社「南日本新聞」の枕崎支局長さんや、主催することを快諾してくださったPTAの役員のみなさん、校長先生、稽古の送り迎えをしてくれる親や、手前味噌ながら関係機関の協力依頼に走り回ったわが劇団の代表や舞台監督、そしてステージスポットをかついで階段を上った私、ほかにもいろいろな人たちの協力があって公演が成り立つということを、このいい子たちにこの際学んで欲しいものだ。
それを最高の形で学ばせるためにも、ぜひ会場にいっぱいのお客さんに来ていただきたい。いよいよ明日、11月12日 午後3時。知覧町民会館。入場無料です!