謹賀新年2009

脚本家の微笑み返し

 

 「劇団いぶき」の本サイトは、1年間まったく更新されませんでした。いやはやついに劇団の運営が停滞し、設立後30年を経てfade-outしてしまったのかとご想像のむきもあったかもしれません。

 実は、fade-outしそうだったのは、私ばかりで、劇団は2008年もドクドクと鼓動を鳴らし続けておりました。

 昨年3月に設立30周年記念並びに南日本文化賞受賞記念パーティーを催し、さらに飛躍するべく、劇団いぶきは、新たな舞台のback stageで大きく息を吸い込んでいるところと、ご了解くださいませ。

 振り返れば昨年は、4人もの新入団員を得ました。また、わが劇団員の赤崎千夏が、一昨年の岡部企画「帰去来」への抜擢に続き「VOiCEニュータイプ・サマーオーディション2008」という催しで文化放送賞などを受賞、プロの表現者の道にさらに近づき歩みを進めていることも、とても喜ばしいニュースでした。そして、暮れの12月、株式会社ザ,メディアジョン様からのご依頼で、全国の起業家と大学生を前に、矢櫃庵にて「ほたる かえる」を公演させていただきました。矢櫃庵とは、知覧の武家屋敷群のはずれにある茅葺きの民家で、ここにわが劇団員らの声と音楽、そして観客の嗚咽さえ混る演劇空間を出現させ得たことは、貴重な経験となりました。

 こうして、劇団いぶきは、地味ながらちゃんと生きて2008年を越えたのです。2009年も早々に某小学校のご依頼で「やまびこ きつね」を、また南九州市教育委員会様のご依頼により市民大学で「やまびこ きつね」と「ほたる かえる」を公演することが決まっております。

 ただ、私は脚本と演出の担当者として、うまく2008年を越えることができなかったばかりか、2009年に向けて、なにより新しい作品づくりに向けて、動き出すことがままならずにいます。ここまでになった劇団いぶきと支援してくださっている方々を思えば、忸怩たる思いであります。

 書くべきことも、書きたいテーマもあります。脚本づくりに没頭したくてたまりません。しかし、それに費やすべきエネルギーを思うとき、今踏み出せないでいるだけです。

 劇団いぶきの劇団員は、それぞれ参加意識は違うと思います。しかしながら劇団の全体としての方向を思うと、この劇団は、「個人的な趣味を発表するための文化サークル」ではありません。それは、31年前、青年団の中かから発生し、市民劇団として引き継がれてきた経緯をたどれば、「地域を興してゆく手段としての劇団」であろうとしてきたからこそ、今日の劇団いぶきがあると言わざるを得ないからです。

 地域がある限り、劇団いぶきは存在し続けるでしょう。今年、私が脚本づくりに踏み出せるかどうかわかりませんが、地域における劇団いぶきについて長い視点で考えていこうと思っています。劇団いぶきは、今年も地域の劇団として、地域とともに脈を打ち続けてまいりますので、皆様にも長い目でご覧いただきご支援くださいますよう、よろしくお願い申しあげます。

劇団いぶき

劇団いぶきは、鹿児島県知覧町で40年以上活動している劇団です。