1997年
作詞 朝隈克博
作曲 田中祥弘
闘うな人は 風を恐れろ
逃げろ 人は神を恐れろ
僕の遺伝子の中の 太古の魂が
「その風と渡り合うな だだ吹かれていろ」と唄っている
その風は そよいでいた
春は 綿毛と空に遊んで
草の葉を静かに揺らしていた
やがて風は 波をつくった
波は 小舟を押上げていた
やがて風は 波のしぶきを無数にひきちぎり
大地に飛ばすのだ
そして 900ヘクトパスカルの風が渦巻いて
人の夢をすべて飲込もうとしている
僕の遺伝子の中で太古の魂が叫んだ
大丈夫だ 飲込まれるのは人の夢だけ
みんな ただ 吹かれている
おまえも吹かれていろ
飲込まれるのは人の夢だけ
風が人よと叫んでいる 人が風に巻かれてちぎれ
嵐の夜は行くなと風が 行けば逆巻き飲み込むと風が
川が怒れと叫んでいる 怒れる川が大地をえぐり
嵐の夜は行くなと川が 行けば逆巻き飲み込むと川が
山が耐えろと叫んでいる 動かぬ山が震えて怒る
嵐の夜はすべてが耐えて 人だけが抗い飲み込まれていくさ
崩れ落ちたのはあなたの夢か 流れ去ったあとに心は残るか
ただ 立ち尽くして胸で手を組み 風の轍を空に見ていた
闘うな人は 風を恐れろ
逃げろ 人は神を恐れろ