2010年「ナム!」劇中劇音楽
菅井タキさんは終戦のとき三十九歳でした。ご長男は戦死。病弱な二男と、当時十歳の茂太さんを抱えて、畑にはいつくばって生きていらっしゃいました。苦難の連続でしたね。この世とはそんなところです。その中で迷いながら歩いています。私もそうです。テツの親父として何をすればいいのか。寺の住職として何をすればいいのか、ぜんぜん答えはみつかりません。でも、タキさんが来てくれて、少しだけ、足下の道が見えたような気がします。地域の人たちがが、ここに来て、ありのままの自分になれる。お経を聞いて、肩の力が抜ける。テツにも、ありのままの心をみせる。そんなことができるようにと考えながら悩みながら、私もまた娑婆を歩いていくんですね。
せんせい。
ゴンザ!
仁助サー!今、助けに行きます!そして、おいも仁助さーといっしょに!
ならん!ゴンザ!お前はお前の苦しみを生きるのだ。生きることから逃げてはいけない。生きていく苦しみを、その苦しみを生きてこそ往生できるのだと知りなさい。お前の五体を、その苦しみの中に投げ出して、すべてを受け入れて南無阿弥陀仏と唱えなさい。歩む道は足下に見えるでしょう。ゴンザ!
仁助さー!